もう十数年になると思います。ご飯盛り付け機を使ってご飯をよそぎだしたのは。
いつのまにか当たり前になっていたそれらのことも、外から入ってきた人間が見ることによって疑問を呈すことが可能になります。
というのも、炊きあがったご飯をしゃもじを使ってよそうのと、機械を使ってよそうのとでは、やはり明らかに前者の方が美味しいわけです。
もちろん、ご飯盛り付け機のグレードによってある程度は盛り付け感も変わってきます。最新のものは昔のものと違って、たしかに品質が高くなってもいますし、実際かなり手盛り感があるのは知っています。
ただ、うちの場合、大手の弁当屋と違って何万食もやっているわけではないので、そのようなグレードの高いご飯盛り付け機を装備するのは予算的に難しいわけです。
結果的に、中途半端なご飯盛り付け機を使うという現状に落ち着いてしまったわけでございますが。
「ご飯盛り付け機は本当に必要なのか?」
「これは小さい弁当屋のやることなのか?」
「そもそもうちの弁当屋としてのポリシーは何だったのか?」
という疑問に真剣に向き合うことになったわけです。
その疑問に対する答えは、全員一致で「必要ないのでは」という返答。
その日のうちに、ご飯盛り付け機は撤収。翌日から手作業でご飯をよそうことになりました。
やはり、食べてひと言「おいしい」。
見た目は、自然体で「おいしそう」。
日進月歩で年々レベルが上がってきている食品製造に関する機械。
ただ、もしかすると、その反動なのかどうかは定かではないですが。これからは、人の手でやることの価値が高まってくるような感覚がしています。
僕ら食べものに関する分野では、特にそのような流れが来ているように感じます。大手ではない小さな企業が提供すべき価値もそこにこそあるのでは。
なにはともあれ、現在ことぶき屋では、
「おいしいものを食べてもらいたい」
その原点に帰り。
この十数年のうちに習慣化された日々の仕事を見直している最中です。
コメント