価格ありきの商売をしたいとは思いません

弁当屋のブログ

寿屋を創業した当時、そのときはまだ消費税というものがありませんでした。

当時の寿屋の弁当の価格は、一番下のサイズのミニサイズで330円。

たしかに、振り返ってみても「安っ!」となりますが。使用する食材や調味料・その他燃料・光熱費も今ほど高値ではなかったわけで、安くて良い弁当を提供できていた自負があります。

弁当の原材料となるものが普通に安くて良いものが市場に溢れていたので、自ずと寿屋も安くて良い弁当を提供できていたわけです。

では、今現在はどうでしょうか。

今ことぶき屋で提供しているミニ弁当は380円。そのうち消費税分(10%※軽減税率8%)は34円なので、実質346円。

これだけモノの値段が高騰している現在においても、弁当の価格は実際のところ19年前とほとんど変わってないということは、弁当を製造するための原材料に関して、それなりのものしか使用できていないということは誰でも想像がつくことかと思います。

僕が経営に参画する前、まさしく寿屋はそのような状態でした。

目で楽しませる工夫、美味しいものを食べたもらいたいという工夫、そういった小技は一切なし。原価ありきの、それなりの食材で作れる弁当。

創業当時とはすっかり変わり果てていたわけです。

どうなんでしょう。

正解はないのでしょうが、僕はこのような価格ありきの商売をしたいとは思いません。

もちろん限度もあるとは思います。

ただ、僕たちのような小さな事業者がこのような価格ありきの商売をするのはあまりにも愚策であり。仮に、そのような小さな事業者が今よりもさらに増えてしまったら、経済は今よりさらに悪化していく一方だと思います。

商売の醍醐味は、いかに多くの粗利を獲得できるか。

粗利というのは、売上から原価を引いた残り。働いてくれているスタッフの方の待遇をよくするためには、いかに一人当たりが獲得する粗利を高められるか。

この考え方があるのなら、大手ではない僕たちのような小さな事業者が価格ありきの商売をしていたのではダメだと。普通にそのような考えに至るはずです。

いくら小さな弁当屋と言えど、しっかり利益の出る価格で弁当を販売できなければ、働いてくれているスタッフの方の待遇も粗末なまま。

言ってみれば、

「そんな弁当屋、社会的に必要なのか?」

そんな風にも捉えられると思います。

ここまで偉そうなことを書き記してみましたが、僕は挑戦者です。

古くから続く給食弁当業界の認識。値下げは当たり前という給食弁当業界の認識。

僕はそういう給食弁当業界の常識から離れたところでやっていきたい。

日替わり弁当屋として、お客さんを楽しませられるようになりたい。

今よりさらに良質なものを食べてもらいたい。

うちの弁当を利用してくれる方ともっとコミュニケーションが取りたい

そのためには、今より弁当の価格を上げる必要がある。

考えてみれば単純なことです。

単純なことですが、挑戦して上手くいくかは誰にも分かりません。

ただ、ことぶき屋はそのようなイバラの道を進んでいくと決めました。

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